死の臨床研究会に行って来ました

これも医療なの??



これが本来の医療なの??


初めて死の臨床研究会に参加しました。

参加してどうだったかと言うと…


少し混乱しています。


普段参加している薬学系の学会では、
如何に薬を正しく効果的に使うか、
副作用を防ぐ為にどうすれば良いか
と言う事に主眼が置かれていますが、
この研究会では、あまりその類の話は
出て来ません。


この研究会で出て来るのは、死生観、
その人らしい死、患者や家族に如何に寄り添うか
と言った話が、沢山出て来ます。
さらに、宗教的な話も出て来るので
ますます違和感があります。

エビデンスを重視すればナラティブが軽視され、
ナラティブが重視されればエビデンスが軽視され。


いつも出ているような学会はエビデンス重視。
この研究会はナラティブ重視と言った感じです。


どちらが良いと言うわけでなく、
やはりバランスが大切と言う事なのでしょうか。


普段とは違う視点で医療を考える良い機会でした。ちょっと考え方変わったかもしれません。


次回は2011年10月9・10日場所は千葉です。
興味があればぜひっ!
来年も参加出来たらいいなぁ。

死の臨床研究会に行って来ます

明日、明後日と盛岡で行われる「死の臨床研究会」に行って来ます。
ちょっとドキっとする名前ですが、


日本死の臨床研究会は、死の臨床において患者や家族に対する真の援助の道を全人的立場より研究していくことを目的とし、1977年に創立された研究団体です。


とのこと。

初参加なのですが、普段参加する学会とは少し違う感じがします。
どんな感じの学会なのでしょう、楽しみです。


明日は早朝の新幹線で、盛岡入り。
4:30には起きなくてはいけません。大丈夫かな…


おやすみなさい!

薬剤師とチーム医療 日病薬の解釈と具体例

 厚生労働省から平成22年4月30日付けで
「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」
という通知が出されました。


薬剤師として積極的に関わるように示されたのは次の9の事柄。


1 薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、
医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知
見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。


2 薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処
方を提案すること。


3 薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の
副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと。


4 薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効
性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案するこ
と。


5 薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容
の処方を提案すること。


6 外来化学療法を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコン
セントを実施するとともに、薬学的管理を行うこと。


7 入院患者の持参薬の内容を確認した上で、医師に対し、服薬計画を提案するな
ど、当該患者に対する薬学的管理を行うこと。


8 定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調
剤すること。


9 抗がん剤等の適切な無菌調製を行うこと。



さらに、今回日本病院薬剤師会より、この通知の解釈と具体例が示されました。

「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」日本病院薬剤師会による解釈と具体例(Ver.1)


薬剤管理指導業務、持参薬管理、抗癌剤無菌調製は
やはり薬剤師として欠く事のできない業務のようです。


興味深いのは薬剤管理指導業務の中で、副作用管理として
フィジカルアセスメント[血圧、脈拍、体温、呼吸数、意識 レベルなどの
バイタルサイン(基本的生命徴候)の確認に加えて、打診、聴診、心電図解読などの評 価]、
というのが挙げられています。


近い将来、医師や看護師と同じようにバイタルサインを薬剤師もチェックするようになるのでしょうか。
この病院薬剤師会の通知が薬剤師の未来を切り開く一歩になるのかもしれないと思いながら、
興味深く読んでいました。

抗がん剤調製室の設計

久々に更新。

数年後の新棟建設に向けて、抗がん剤調製室の設計をしています。
(と言うほど大袈裟なものではありませんが)


安全キャビンネットやパスボックスの配置を考えたり、
新居にお引越しするようなちょっとワクワクした気ぶんです。


しかし、ひとつ頭を悩ませている問題があります。


それは、調製室内の空気清浄度をどうするかと言う事なのです。


普通クリーンルームと言うと、フィルターを通したきれいな空気をどんどん部屋内に送り込むので、部屋内は陽圧に保たれています。


しかし、部屋内が陽圧だと部屋内の空気はどんどん外へ出て行くので、
部屋内で抗がん剤を扱うと抗がん剤が部屋外へ漏れ出す恐れがあります。


そこで、抗がん剤を扱う部屋の場合は、部屋を陰圧に保ち、外部に部屋内の空気が漏れ出さないようにした方が良いようなのです。


今度は逆に、部屋内を陰圧にすると外の清潔でない空気が部屋内へどんどん入ってきて、
部屋内の清潔度が保てなくなってしまします。


技術的にはフィルターを通した空気を部屋内へ送ることで、清潔度を保てるようなのですが、
かなりコストがかかってしまうとのこと。


部屋内の清潔度をとるか、抗がん剤の漏出防止を取るか考えなくてはいけません。



一つ疑問なのは、部屋内の清潔度を保つということにどれだけの意味があるのでしょうか?


抗がん剤の調製をするのは安全キャビネット内なので、
安全キャビネ内の空気が清潔に保たれていれば、キャビネット外の空気の清潔度は関係ないのでは??


まして、未滅菌のガウンやグローブをしているのに、部屋内の清潔度は関係あるのでしょうか?


なにか、毎日お風呂に入って清潔にしているけど、服は1ヶ月換えてませんといった感じで、
頓珍漢なことをしているのかもしれません。


現時点では調製室内は陰圧にし、外部へ抗がん剤の漏出を抑えるという方向で検討しています。



皆さんの働いているところでは、どのような思想で調製室を設計されましたか?
特に最近部屋を作られた方がいらっしゃいましたら教えてください。

The 未来プロジェクト2010に参加してきました

週末に福岡に行ってきました。


メンバーはC島先生、T谷先生、看護師H田さん、オレの乳がん学校チーム。


目的はモツ鍋、水炊き、とんこつラーメン  ぐふふ・・・


じゃない!!


「The 未来プロジェクト2010」というチーム医療を勉強するワークショップに参加してきました。


チーム医療の勉強会というと、普通対象は医療従事者なのですが、
このワークショップ、対象は医学部・薬学部・看護学部・心理学科・放射線学科・臨床検査科等の医療系学部の学生さんなのです。


会場は学生さんたちのやる気と、世話役の先生方の若い世代を育てようという熱い気持ちで溢れています。



ワークショップの内容は


第一日目
オリエンテーション 10:00〜10:15

◎Session1 10:15〜12:30 チーム医療
「チーム医療には何が必要か」

◎Session2 13:15〜15:15 医の原点
「患者・社会のための医療」

◎Session3 15:30〜17:30 コミュニケーション
「コミュニケーションスキルトレーニング」

◎Session4 17:30〜18:00 「乳がん薬物治療最新情報」


第二日目
◎Session5 10:00〜12:00 EBM
「治療方針構築」

◎Session6 12:15〜15:00 まとめ
「感想と次回への提言」



小グループでのグループワークと全体でのディスカッションを中心に進んでいきます。
学生さん達みんな積極的です。



このワークショップの特色は患者さんも参加していること。
がん患者さんが治療体験を学生さんたちにお話し、
学生さんが患者さんに治療のこと、生活の事色々質問します。
患者さんのお話を直接聞くことができるというのは、学生さん達の心に
強く訴えるものがあるようです。


また、各セッションの内容も学生さん向けに分かりやすい内容でした。
しかも、学生さんを飽きさせないようによく考えられているんですよね。

例えば、PECOの定式化を練習するためにの練習問題が、
「彼女に浮気がバレたけど、謝るのとプレゼント贈るのどちっちがいい?」
みたいなのとか。


今度の学生実習では参考にさせてもらおっと!


最後にみんなの熱い気持ちを寄せ書きして、ワークショップは終了。
2日間お疲れ様でした。



2日間通して印象に残ったのは、異なる学部・学科の学生さんたちが
本当に楽しそうにグループワークをしていたことでした。


学生時代は学部間の壁を感じず作業できるのに、現場に出るとなぜ職種間に壁があるのか?


もしかしたら、自分から職種間に壁を作っているのではないか?
壁なんて無いのに、あたかも壁があるかのように振舞っているのではないか?


自分のそのような振る舞いが、後輩たちに職種間の壁を感じさせてしまっているのではないか?


学生さんたちを見ながら、そんなことを考えていました。


世話人の先生方、誘っていただいたC先生、本当にありがとうございました。

良い医療のために若い世代を育てたいという世話人の先生方の熱い気持ちが
ひしひしと伝わってきました。


素晴らしい体験させていただきました。
来年もまた参加できたら嬉しいなぁ。


そしてまた、福岡で美味しい物を・・・ ウフフ

診断早期からの緩和ケアで予後が変わる?!

ツイッターで流れてきた論文。(なんと、今日発行の出来立てホヤホヤ)
面白そうなので早速読んでみます。


Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer

転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者への早期からの緩和ケア


P(Patient):

転移性非小細胞肺癌の患者(n=151)

E(Exposure):

診断早期から標準的なケアに加え緩和ケアを行う(n=77)

C(Comparison):

標準的なケアのみを行う(n=74)

O(Outcome):
早期緩和ケア郡では標準的ケア群に比べてQOLが良好だった。
抑鬱症状は早期緩和ケア群で少なかった。
積極的な終末期ケアを受けたのは早期緩和ケア群の方が少なかった。
生存期間の中央値は早期緩和ケア群の方が長かった。(11.6ヶ月vs8.9ヶ月 p=0.02)



早期からの緩和ケアで生存期間が延長された!!!
生存期間の中央値の差で2.7ヶ月


たったそれだけ??


とんでもない!!


NSCLCの標準治療の一つであるパクリタキセル+カルボプラチンにアバスチンの
上乗せ効果を見たECOG4599試験では、生存期間の中央値は
アバスチン併用群12.3ヶ月、非併用群10.3ヶ月で、その差は2ヶ月。


単純比較はできないけど、新薬が開発されたのに匹敵するかな?




緩和ケア群で、QOL抑うつ症状が良好なのはなんとなく想像がつく。
が、緩和ケア群で積極的な終末期ケアを受けた人が少ないというのはどういう事だろう??
早期からの緩和ケアで、終末期も症状が安定しているということか?




この論文ではNSCLCについて検討しているけど、他のがん種ではどうだろう??
病状進行の穏やかな乳がん前立腺がん、進行の早いすい臓がんで同様に生存期間の延長効果が確認できるかな?
意外とNSCLCを選択しているというのがキモだったりして・・・




早期からの緩和ケアの有用性を示す大変勉強になる論文でした。
自分のところで早期からの緩和ケアの導入なんて出来るかなぁと思いながら読んでました。

再発卵巣がんに対するドキシル+カルボプラチン VS パクリタキセル+カルボプラチン

J Clin Oncol. 2010 Jul 10;28(20):3323-9. Epub 2010 May 24.
Pegylated liposomal Doxorubicin and Carboplatin compared with Paclitaxel and Carboplatin for patients with platinum-sensitive ovarian cancer in late relapse.

プラチナ感受性再発卵巣がんの標準治療であるパクリタキセル+カルボプラチン(CP)に対しドキシル+カルボプラチン(CD)の
効果を見る非劣性試験。
Primary end point : PFS
secondary end point : 毒性、QOL、OS



P(Patient):
1st line または2nd lineでPTX+プラチナベースの抗癌剤治療後、6ヶ月以上経過後に再発した卵巣がん


E(Exposure):
PTX175mg/m2+CBDCA AUC5 3週おき。少なくても6サイクル以上


C(Comparison):
ドキシル(PLD) 30mg/m2+CBDCA AUC5 4週おき。少なくても6サイクル以上。


O(Outcome):
PFSはCD群で優位に良好(HR0.821 95% CI0.72to0.94 p=0.005)
median PFSは CD群11.3ヶ月 CP群9.4ヶ月
OSに関しては結論出ず。(median follow up 22ヶ月)


重篤な非血液毒性(36.8%vs 28.4%;p<.01)、6サイクル以内の早期中止(15%vs6%;p<.001)でCP群に多い

CP群に多い毒性は脱毛(83.6%vs7%)、過敏症(18.8%vs5.6%)、神経障害(26.9%vs4.9%)
CD群に多い毒性は手足症候群(12.0%vs2.2%)、悪心(35.2%vs24.2%)、粘膜炎(13.9%vs7%)


有効性も高く毒性も低いCDが標準治療のCPにとってかわるのかな?
両郡の毒性が異なる。脱毛が起きないだけでもCDを選ぶ価値があるかも。


CP群に毒性による早期中止例が多い。治療サイクルが3週おきと、4週おきで異なるのが一因か。